すべてがけちになる

けちな贈り物の備忘録

何故我々はケイヤを考察しなくてはいけないか。

※この記事は、5色の低~中速という観点で書かれています。一般的な解釈ではないだろうことを留意ください。


ここ一週間ぐらいのマイブームが、ケイヤの考察です。

 

結論を先に言えば、ケイヤは「コントロール」の「メインから入る」「ライフ回復手段」/「序盤の蓋」です。


ケイヤが強いかどうかはまだまだわからないけれど、私は強いと思っています。
考察しなくては強さがわからないカードもあると思うんです。
意見が真っ二つに割れているからこそ、考察をしましょう。

————————————————————

f:id:qulomium:20190204114701j:plain

ケイヤ

オルゾフの簒奪者、ケイヤ (1)(白)(黒)
伝説のプレインズウォーカー — ケイヤ(Kaya)
[+1]:墓地1つからカード最大2枚を対象とし、それらを追放する。これによりクリーチャー・カードが少なくとも1枚追放されたなら、あなたは2点のライフを得る。
[-1]:点数で見たマナ・コストが1以下で土地でないパーマネント1つを対象とし、それを追放する。
[-5]:プレイヤー1人を対象とする。オルゾフの簒奪者、ケイヤはそのプレイヤーに、追放領域にあってそのプレイヤーがオーナーであるカードの枚数に等しい点数のダメージを与え、あなたはそれに等しい点数のライフを得る。

3

————————————————————

献身がでた頃に、ケイヤの評価に悩んでいた私がツイッターを見ると、「ケイヤは強い」「ケイヤは弱い」という両方の意見。自分はぱっと見強いかなと思いました。
発売後、連日のようにケイヤで検索をしているが、徐々に「ケイヤが強い」と言う意見が増えているように感じる。

その原因は、大半のプレイヤーは、印象で強さを語るのではないか。つまり冷静に環境とのフィットやポテンシャルを分析しない。パッと見強さがわからないカード、というのは見逃されがち。使われて初めてわかる強さってのもあります。

結論から言うと、「ケイヤは弱い」とされる最大の理由は「直感的でない」そして「明確な仮想敵が存在しない」ことが挙げられます。つまり、強さのイメージが考察しないとわからない。


今回の比較対象は、安らか/ラスアナ/アショクです

————————————————————

まず、4種類のカードの話をしましょう。

・直感的で明確な仮想敵が存在するカード
・直感的で明確な仮想敵が存在しないカード
・直感的でなく明確な仮想敵が存在するカード
・直感的でなく明確な仮想敵が存在しないカード

————————————————————

・直感的で明確な仮想敵が存在するカード

○○対策カード、と呼ばれるカード

コーの火歩き (白)(白)
クリーチャー — コー(Kor) 兵士(Soldier)
プロテクション(赤)
プレイヤー1人が赤の呪文を唱えるたび、あなたは1点のライフを得てもよい。

2/2

———————————

対バーン兵器です。直感的だし明確な仮想敵が存在する。

————————————————————

・直感的で明確な仮想敵が存在しないカード

これはおおよそ、丸いと言われるカードです。

血染めの月 (2)(赤)
エンチャント
基本でない土地は山(Mountain)である。

———————————

まず、直感的にわかります。特殊地形が全部山です。
仮想敵はなんとも言えません。トロンやヴァラクートに刺さるけれど、全ての特殊地形に依存するデッキに刺さるし、その範囲は絶大。
最近は採用率が下がってきていますが、十分に強いカードです。
私からすると月の採用率が下がるのは追い風なので嬉しい。

————————————————————

・直感的でなく明確な仮想敵が存在するカード

これ何に使うんだ?っていうカード。ひらめきの類。

ゲスの玉座 (2)
アーティファクト
(T),アーティファクトを1つ生け贄に捧げる:増殖を行う。(あなたはカウンターの置かれているパーマネントやプレイヤーを望む数だけ選び、その後それぞれに、その上に置かれているカウンターのうち1種類を1個置く。)

———————————

これは今となっては、ですが、
死の影におけるチャリスに対してのゲスの玉座ですね。
脳死勢には10年経っても100年経っても絶対見つけられないサイドカードがゲスの玉座

————————————————————

・直感的でなく明確な仮想敵が存在しないカード

どんなカードに刺さるかわからないし、特定のアーキタイプに刺さるわけでもなさそう

ガドック・ティーグ (緑)(白)
伝説のクリーチャー — キスキン(Kithkin) アドバイザー(Advisor)
点数で見たマナ・コストが4以上の、クリーチャーでない呪文は唱えられない。
マナ・コストに(X)を含む、クリーチャーでない呪文は唱えられない。

2/2

———————————

図らずしも、マナコストを参照にしているのがケイヤに近い。
さて、4マナ以上のクリーチャーじゃないモダンで使われてる呪文、どれぐらい思いつきますか?

ではこれを適当なデッキとでもてらし合わせてみよう。

人間 : 該当カードなし
発掘 : 燃焼/(這い寄る恐怖)
スピリット : 集合した中隊
ジャンド : なし
トロン : カーン / ウギン
UBコン : ジェイス/テフェリー/クリコマ/論理の結び目/至高の評決
バーン : なし
鱗神話 :
ホロウワン : なし
青赤ストーム : けちな贈り物(!)、炎の中の過去、 ただしこれらはマナコストが下がっているので唱えられる
アドグレイス : むかつき
ヴァラクート : 風景の変容

とまぁ、例えば適当に見たけれど、これはあんまり考える必要がなくて、そもそもクリーチャー全盛のこの時勢で、4マナ以上の非クリーチャー以上の呪文が少ないことは簡単に想像がつく。それらが致命的な弱点と言える場合には、抑えてもいいかもしれない。

————————————————————

で、別にガドックティーグをディスりたかったわけじゃないのだけれど、正確な強さは考察しないとわからないよねってことが言いたかった。

明確な仮想敵が存在しないカードは、メインに入りうる(丸い)カード、
明確な仮想敵が存在するカードは、サイドボードに入りうる(尖っている)カードです。

ケイヤは、直感的でなく明確な仮想敵が存在しないので、性能次第ではメインに入りうるカードです。

————————————————————

[+1]:墓地1つからカード最大2枚を対象とし、それらを追放する。これによりクリーチャー・カードが少なくとも1枚追放されたなら、あなたは2点のライフを得る。

———————————

まず、ケイヤの比較候補に出てきそうなカードは、マナ域を考えると、
安らかなる眠りです。

———————————

f:id:qulomium:20190204114750j:plain

安らか〜

安らかなる眠り (1)(白)
エンチャント
安らかなる眠りが戦場に出たとき、すべての墓地にあるすべてのカードを追放する。
カードかトークンがいずれかの領域からいずれかの墓地に置かれる場合、代わりにそれを追放する。


———————————

墓地対策として使われている、ほぼ最上位の性能を持っています。
安らかとの一番の差は、即時追放できるかどうか、です。
フェニックス/ドレッジ/けちストームに対しては随時追放できる安らか。
がやはり強いです。
フェニックスとけちストームはどっちも-1が刺さらないので余計に安らかが強い。

じゃぁ、ケイヤ弱いかって言われるとそうではなくて、むしろケイヤは、メインからちまちまリソースを削りつつライフを回復するカードです。相手の墓地を削りながら毎ターン2点づつ回復、あるいは自分の墓地を犠牲にしてでも延命、ライフの維持できないコントロールとしては文句ありません。とりあえず、相手のカードがある程度墓地に落ちるようなデッキ構成であるならば、ケイヤはいやらしい動きをしてくれるでしょう。

やはり安らかはサイド要因であって、ケイヤのような丸さはありません。
だからと言ってその二つが競合するわけではなく、ケイヤの大マイナスの相性は抜群で、中途半端に墓地利用する安らかが効かないデッキに対しての、決め手ともなってくれます。ケイヤの忠誠度が5まで溜まった後に安らか出して相手を安らかにさせるのも良いでしょう。

ちなみに、ケイヤの+能力は墓地リソースが溜まってからの運用になるので、最速で出るケイヤは-効果の連発になると思います。

————————————————————

[-1]:点数で見たマナ・コストが1以下で土地でないパーマネント1つを対象とし、それを追放する。

———————————

これはラスアナとの比較になります 

f:id:qulomium:20190204114835j:plain

いつも、"最後の希望"って言っちゃう

最後の望み、リリアナ (1)(黒)(黒)
伝説のプレインズウォーカー — リリアナ(Liliana)
[+1]:クリーチャー最大1体を対象とする。あなたの次のターンまで、それは-2/-1の修整を受ける。
[-2]:あなたのライブラリーの一番上からカードを2枚あなたの墓地に置く。その後、あなたはあなたの墓地からクリーチャー・カード1枚をあなたの手札に戻してもよい。
[-7]:あなたは「あなたの終了ステップの開始時に、黒の2/2のゾンビ(Zombie)・クリーチャー・トークンをX体生成する。Xはあなたがコントロールするゾンビの総数に2を足した数に等しい。」を持つ紋章を得る。

3

———————————

ラスアナ
・色(黒2色要求が重い)が弱い
・+で盤面触れる除去はタフ1まで。クロックは2減らせる
・墓地からのクリーチャー回収

ケイヤ
・色は強い
・除去が−。クリーチャー以外も触れる
・+でライフが増やせる
・奥義が近い。

———————————

こうなると、除去したいタフ1と1マナの比較である
それぞれの除去できるよく採用されるカード(仕組まれた爆薬のような起動時に置くものや、歩行バリスタのような対応して能力を起動できるもの/恐血鬼のようにあまり意味のないものを除く)

ラスアナ
サリア/幻影の像/ヴェンディリオン/ボブ/ヤンパイ/鎖ならし/瞬唱/永遠の証人/エイヴンの思考検閲者/過勝奇/ちらつき鬼火/大聖堂のスカージ/ファイレクシアの破棄者/波使い/荒廃の工作員

ケイヤ
教区の勇者/薬瓶/搭載歩行機械/活性機構/オパモ/硬化した鱗/死の影/炎刃の達人/墓掘りの檻/精力の護符/墓所這い/速槍/先達/洞察のランタン/怨恨/探検の地図/真髄の針/大祖始の遺産/秘密を掘り下げる者/楽園の拡散/野生のナカティル/実験体/アクロスの英雄キデオン

両方
極楽鳥/おばさんび/ラヴァマン/霊廟の放浪者/臓物の予見者/信号の邪魔者/ぎらつかせのエルフ/東屋のエルフ/っていうかエルフ大体

軽く見ましたけれど、こんなとこでしょうか?

これを見るとわかるのは、ラスアナで除去れるのはシステムクリーチャーが多いこと。ケイヤはパーマネントであることも含め、クロックや、致命的なカードを除去できます。ラスアナはクロックを2点減らせるかもしれないけれど、大抵は1枚減った方が楽です。そして追放除去であることも強い。

1ターン目極楽鳥から、2ターン目ケイヤを出して、1マナ域に蓋しに行くムーブはえぐいと思います。早いターンで出して、相手のスタートをズタズタにしていくのは良いでしょう。1マナのパーマネントが入ってないデッキなんてほとんど存在しないわけですから。

ちなみに、+能力、-能力ともに刺さらないのが”けちストーム”です。やはりあなたとは白黒つけないといけないようですね。イゼットフェニックスも微妙です。

————————————————————

[-5]:プレイヤー1人を対象とする。オルゾフの簒奪者、ケイヤはそのプレイヤーに、追放領域にあってそのプレイヤーがオーナーであるカードの枚数に等しい点数のダメージを与え、あなたはそれに等しい点数のライフを得る。

———————————

既存のカードの中で、ケイヤに一番近いのは、アショクだと思います。

f:id:qulomium:20190204114908j:plain

アショク

悪夢の織り手、アショク (1)(青)(黒)
伝説のプレインズウォーカー — アショク(Ashiok)
[+2]:対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーのライブラリーの一番上から3枚のカードを追放する。
[-X]:悪夢の織り手、アショクによって追放された、点数で見たマナ・コストがXのクリーチャー・カード1枚をあなたのコントロール下で戦場に出す。そのクリーチャーは、他のタイプに加えてナイトメア(Nightmare)でもある。
[-10]:すべての対戦相手の手札と墓地にあるすべてのカードを追放する。

3

———————————
+効果で盤面に関係ないリソースを削りつつ、-で若干盤面に触る。

アショクも、青黒のコントロールでは使われることがあります。
+能力はコンボ以外には刺さりませんが、-Xはビートに刺さります。-能力はコントロールに刺さります。ちょっと不器用なところありますが、まぁ何より硬いので。

アショクは運が絡みます。(相手のデッキをリソースにするため)。そして横に並べるタイプには弱い。
ケイヤは運が絡まない。1マナ以下であれば3回までは連続使用できます。2ターン目ぐらいにケイヤがでるとだいぶ蓋できそう。


ちなみに、自分のけちにおいては、青は少し薄めで(けちなのに!)、3ターン目に青黒という色の組み合わせが弱いので、アショクは採用に至ったことはありません。

 

ケイヤは、スムーズにいくと、4点ドレインです。終盤の4点ドレインはでかく、これだけで決まることも。中盤であれば、その後の別のカードにつなぐカードです。

印象的にケイヤは使い捨てるカード。1枚で勝つためではなく、他のカードにつなぐためのカードです。 

————————————————————

総じて、ケイヤは絶妙です。序盤に強く、中盤にも回復に、終盤ではフィニッシャーにもなりえます。

ケイヤは、+能力を使うか、-能力を使うかで、だいぶ相手の印象が変わります。

序盤に出したケイヤは、-能力で積極的に盤面に触っていくので、相手にはすぐ除去されるでしょう。
中盤以降に出したケイヤは、+能力でライフを回復していくので、あまり存在を意識されず、それでいて出してから2ターン目で奥義に至ります。

もし相手の墓地にクリーチャーが2体以上いて、4枚追放でき、そして奥義を打てたなら、3マナで8点回復4点ライフロスに成功したことになります。一個一個の効果は小さく見えて、噛み合い方が尋常じゃない。1枚で12点もライフに差をつけられるのはビートダウンとしては涙目でしょうね。


3マナに望む性能としては、申し分ないでしょう。
というわけで、ケイヤをメインから3枚採用しました。
そのリストを公開するまでに、まだ二つリストの変遷載せないといけないのがある。
載せるのはいつになるやら。

————————————————————

 

【補足】
なぜヴェリアナではなくラスアナとの比較なのか

コントロールではヴェリアナよりラスアナの方が強いと感じていて、なぜならヴェリアナが強いのは居座れる場合だけだから。
ラスアナは出たターンにすぐ仕事する。
ヴェリアナは対象が不確定除去なので、相手が1体しか並べないデッキ以外には弱い。その機能ならはじける破滅の方が強い。
また、+能力であるハンデスも、お互いにリソースを削っていく以上、クリーチャーを出すアグロならともかく、クリーチャーを出さない低中速だと、むしろ自分の首を絞めている。

よって、+で盤面に確定で触れ、墓地からクリーチャーを回収できるラスアナの方が、ヴェアリアナよりコントロール向き。